今更ですが、「終業式」 姫野カオルコ

なにかの拍子に「ツ・イ・ラ・ク」という衝撃的な恋愛小説を読んで以来、姫野カオルコさんの著作を読んできた。
といっても断片的にだが。
最近彼女の本がKindleで大量にあることを発見したので、そのほとんどを購入し1冊づつ読んでいる。

その中の1冊がこの「終業式」
この作品は1996年に「ラブレター」という題名で出版されたらしいのだが、文庫化にあたって、この題名になったようだ。

内容は、高校時代から大人の時代?、プラトニックラブ(気恥ずかしいが)から大人の恋愛、結婚、離婚、再婚に至るまでの群像劇のようなもの。
それが普通にストーリーで綴られるのではなくて、それぞれの登場人物の手記であるとか手紙であるとかメモ、FAX文章等で表現されていく。

最初数頁読んだところで、ちょっと取っつきにくいかなと思ったのだが、読み進むにつれて本から目が離せなくなった。
ハッピーエンドであり、悲しい話であり、普遍的な話であり特別な物語であるのだが、この本の全体を流れている切なさは尋常ではなく、深く共感してしまった。
といいながら、筆者(私)は、男子高校であり男女共学の高校に通ったことはなく、この作品のような高校時代は過ごしていない。
これを読むと無理して浪人してでも共学の高校に行けばよかったなと心から深く深く深く思う今日この頃でした。

姫野カオルコさんは、筆者と生年が同じなので、より深く感じるところがあるのかもしれないとも思います。
でもどうして題名を変えちゃったのだろう?
「ラブレター」のままでいいような気がするけど。
文章なんて基本的にすべてラブレターだと思います。

終業式 (角川文庫)
リエーター情報なし
KADOKAWA / 角川書店